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<めたもるふぉーず> 3にんのおとこのあたま

<メタモルフォーズ> 三人の男の頭

作家名:パブロ・ピカソ
制作年:1931年
技 法:エッチング 紙
古代ローマの詩人オウィディウスが、「変身」という主題でギリシャ・ローマ神話を集大成した傑作『変身物語』に寄せた30点の銅版画による挿絵本。ピカソ新古典主義時代の代表的な版画集である。ピカソは油彩画では、1925年頃から人体が激しく歪形(デフォルメ)し痙攣しながら変容するような人体をえがき、作風が大きく展開していた。しかし、この<メタモルフォーズ>では、ピカソはいまだに、油彩画において10年前に使っていた古典的な手法を維持した。キュビスムによって獲得した複数の視点の導入が見られる<頭>(出品番号06-05)のような例外はあるものの、全体として銅版画の技法に精通した端正でやわらかい線により、優雅でおおらかな画面が展開されている。キュビスム時代の挿絵では、場面の説明的な要素は乏しかったのだが、ここではピカソは場面に即して描いている。しかし変身がテーマであるにもかかわらず、ピカソは登場人物が本当に何か別のものに変化する場面は描いていない。神々の王、全能の神、ジュピター(ゼウス)とセレメの道ならぬ悲恋の物語には特にひかれたのだろうか、「ジュピターとセメレの愛」(出品番号06-06)では、完成までに5枚の異なった試作を行っている。嫉妬に駆られたジュピターのお后ユノーが、たくらみを巡らして、最後はジュピター自身がセメレを焼き殺すようにしむけるために、セメレの乳母ベロエに変身するというストーリーなのだが、ピカソはこの変身の場面ではなく、ジュピターとセメレの愛の時間を場面に選んでいる。ピカソにはロシア・バレエ団の元ダンサーであった妻オルガがいたが、ちょうどこのころ、若き恋人マリー=テレーズともつきあいがあった。ここにはピカソの私的な生活が反映しているのかもしれない。なお、この兵庫県立美術館が所蔵する<メタモルフォーズ>には、表紙や奥付に三点のデッサンが描かれている。挿絵と共通するのびやかで生き生きした簡潔な線描で男女の顔が描かれており、必見である。(「変貌するひとのすがた ピカソの版画」(コレクション+αで楽しむシリーズ) 2006年)


カテゴリー:作品
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ロマン主義とは?【 美術用語 】

19世紀前半のヨーロッパの美術潮流。ロマンという語は、俗語で書かれた文学を意味した中世フランス語に由来し、そこから非現実的要素だけが取り出されて伝奇的・空想的意味に用いられ、18世紀には悲愴的美、崇高美と結びついた新しい美的感覚をあらわす基本的な概念となったものである。ドイツでは18世紀末から〃イエナ・ロマン派〃によって生活態度における最高概念まで高められた。ここでは、ロマン的現代とは有限と無限、自然と精神の分裂の時代であり、その中で有限なものの中で心情を無限なものと一体化させることは美的態度によってのみ可能であると考えられた。このようにロマン主義とはいわゆる造形活動上の様式概念ではなく、作家の制作態度にかかわるものであるので、特定の形式や統一的様式はもたず、またロマン主義に含まれる作家に様式上の共通点は見られない。代表的作家は、ドイツでは絵画のフリードリヒ、ルンゲ、建築のシンケル、フランスでは絵画のドラクロワやジェリコーらがいる。

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