作家名:
パウル・クレー
制作年:1937年
技 法:油彩 石膏、ジュート
パウル・クレー(1879-1940)は、
スイスに生まれ、ドイツ、ミュンヘンの美術学校に学ぶ。初期は神経質でありながらダイナミックな線描で知られ、後に豊かな色彩を用いた作風へと変遷しました。キュビスム(立体主義)や
シュルレアリスム(超現実主義)などの様々な要素を消化し、線と色彩の効果が十分に発揮された、高い精神性を持つ独自の画風を確立。理論家として多くの作家に影響を与えるなど、今世紀の巨匠の一人に数えられています。 この作品は、晩年に描かれたもので、小品が多い
クレーの作品の中では大きな作品です。大まかな線で単純化された人体の形態、柔らかで明るい色の配置が生み出す穏やかなリズム、児童画を思わせるような素朴な要素、そして
クレーの心情が伝わってくる様な親しみやすさなど、
クレー芸術の集大成がなされた作品の一つです。またこの作品は、
クレーの主要な展覧会にたびたび出品され、美術出版社出版の『世界の巨匠シリーズ
クレー』にも図版が掲載されるなど、
クレーの特質が十分に表された代表作の一つと言えます。