画面の中央に何やら奇妙な人が描かれている。たくさんの頭を持ち、いくつもの顔がある。顔の中にまで顔がある。胴体は一つで、両手両足があるのだが、足は魚のヒレのように二股に分かれていて、その先もまた魚のヒレのように分かれている。そういえば身にまとった衣装は、魚がびっしりと貼り付いたように描きこまれている。背後には光背を思わせるように明るい光が描かれており、その上には虹がかかっている。虹の向こうに見えるのは、うっそうとした森で、もちろんタイトルにある<虹の女神>は、この中央にどっしりと構えている人であるらしい。耳飾りや首飾り、腕飾りなどのぜいたくな装飾品がその身を高貴に見せている。ここで、私たちは、作家の豊かな想像の世界を垣間みていることになる。この絵の作者である
ツインズ・セヴン・セヴンが生まれたのは、ナイジェリアのオショボという小さなチホウの村である。かつてオショボにやってきた人々と皮の、女神は約束を取り交わし、村人たちが女神のために森や祠(ほこら)を大切にするかわりに、女神が村を守こととした。以後、村人たちは女神の使者とされる魚に餌を与える儀式を今も忘れない。そう考えると、川の女神と虹んの女神は、姉妹のような関係にあるのかもしれない。オショボでは、深い森や美しい川岸など、今も身近なところに神様が生きているのである。