ぐるぐるアートワード
データベースを使った楽しいサービスです。文中のキーワードをクリックすると、解説文があらわれ、同時に検索結果が表示されます。ぐるぐるキーワードをたどって遊んでみてください。
ぐるぐるもくじ


サイケデリック・アート



自然主義



写実主義



シュガー・アクアチント



シュプレマティズム



シュルレアリスム



象徴主義



白樺派



シルクスクリーン



新印象主義



新古典主義



新造形主義



ジ・エイト



ジャポニスム



水彩画



水墨画



スタビル



ステンシル



スピット・バイト



スーパーリアリズム


<前 (1/2ページ) 次>

●もくじのさくいん

    

    

記事カテゴリ

 すべて

 作家(1701)

 作品(1851)

 美術用語(163)

 その他(1)


とりにこられなかったしょうぞうがAたにぐちただよしとのがっさく

取りに来られなかった肖像画A 谷口董美との合作

作家名:山下菊二
制作年:1969年
技 法:油彩 毛 コラージュ
1969年に開いた「弔い展」に作品した一点です。この展覧会には、開催の五年前に亡くなった版画家谷口薫美の遺作と山下の近作が展示されました。谷口は結婚して性が変わっていましたが、山下の実兄。兄を追悼するために、山下が開いたのです。ところでシュールレアリスムの技法の一つに、コラージュ(張り絵)と呼ばれる技法があります。思いがけない物と組み合わせることで、全く新しいイメージを作り出そうとするもので、 この作品にもその技法が用いられています。人物の部分は、元々は谷口が描いた戦没兵士の肖像画です。肖像画から切りとった人物の部分を台紙に張り、周囲に山下が新しい絵を描き加えています。第二次大戦中、谷口は戦没兵士の家族の依頼で肖像画を描きましたが、戦後になっても引き取り手が現れないものがありました。谷口の遺品にまぎれていたその一枚のコラージュに使ったのです。若者の姿は強靭(じん)な決意を秘め、しっかりと正面を見据えています。しかし、背景に描き込まれた深紅の太陽には、海軍旗のような勇ましさはなく、むしろ沈痛な気分を漂わせています。鳥のような不思議な生物と手前に添えられた花は、不安な印象をかきたてます。谷口が描いた肖像は、国連をかけて戦場に散っていった、名誉の戦死とたたえられた若者の姿です。しかし山下の手が加わると、当時のそのような画一的な見方は取り払われ、一人の若者の死を悼む痛惜の念だけが画面に漂っています。山下のコラージュによって、谷口の肖像画は、全く新しいイメージを与えられてといえるでしょう。このころの山下は反戦をテーマとした作品を描いていますが、そのシリーズに連なる一点といえます。


カテゴリー:作品
  いまクリックまたは、検索したキーワードの解説

パピエ・コレとは?【 美術用語 】

貼り紙のことで、装飾紙の切片を画面に貼付する技法。分析的キュビスムから総合的キュビスムに移行し始めた1911,12年頃、ピカソブラックが用い始めた。キュビスムが分析的段階に至って抽象的な線の要素に解体した画面に現実感と日常性を回復させるため、新聞紙、切符、模様紙、レッテル、さらに羽毛、砂、針金などを貼りつけ、新しい造形効果と物体感を導入した。20世紀絵画におけるオブジェの意識の形成過程にとって重要な契機をなした技法である。のちにダダシュルレアリスムコラージュに発展した。コラージュは、貼りつけることを意味し、マックス・エルンストをはじめとするシュルレアリスムの作家たちが1920年代からよく利用した。本来相応関係のない別々のさまざまな「もの」を、最初の目的とはまったく別のやり方で結びつけ、異様な美やユーモアやロマネスク的な領域を絵画に導入した。現実の多様性を画面にとり込むための有力な手段のひとつである。

  画面右にこのキーワードの再検索結果が表示されています。そちらもご覧ください。

キーワード検索




けんさくけっか

キーワード

パピエ・コレ

キーワードを含む記事
5件見つかりました。

  ファン・グリス

  コラージュ

  パピエ・コレ

  百頭女

  アンリ・ローランス


<前   次>

徳島県立近代美術館2006