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わかいふじんのしょうぞう 若い婦人の肖像
同世代の宮廷画家イアサント・リゴーが、王侯や宮廷婦人の肖像画を手がけていわば「王家の画家」としての名誉を得たのに対し、彼の好敵手であったラルジリエールは、高等法院評定官をはじめ、銀行家や大ブルジョワなど、役人や富裕な市民階級の人々の注文を受けて活躍し、いわば「小役人の画家」あるいは「ブルジョワ市民の画家」として、当代一流の肖像画家の名声を確立した。ダルジャンヴィルは次のように述べている。「この画家はフランス宮廷とはあまり関係を結んでいない。むしろ一般市民のために制作することを喜んだ。その結果、優遇を得ることはなかったが、収入は宮廷に出入りしていた頃よりも急速に増えた。」アントウェルペン、ロンドンで修業を積み、そこでヴァン・ダイクの絵画に見られるような重厚かつ豊麗なフランドル絵画の様式を身につけたラルジリエールの作風は、フランドル的な造形と色彩の影響を受けながら、フランスらしい軽快で洗練された美しさを湛えている。歴史画、風景画、静物画など多彩な分野に筆をとったが、60年余の活動期の中で実に1500点をこえる肖像画を残した。その肖像画は女性的な優しさをもつロココ風のもので、リゴーの男性的な美を持ついかにも17世紀風の様式に比べると、明らかに新しい時代の到来を予告しているといえる。この作品は、楕円形の画面に落ち着いた褐色の色調によって簡略化された背景に描かれ、優美で女性らしい雰囲気を醸し出すとともに、ショールの赤や唇と頬の紅の色彩が画面に華やかさと明るさを添えている。ラルジリエールらしい軽妙な女性肖像画である。(「近世フランスの絵画と版画−東京富士美術館コレクションによる」図録 2002年)
カテゴリー:作品
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ロココとは?【 美術用語 】 18世紀にヨーロッパで流行した装飾様式。バロック様式に続き、新古典主義に先立つ様式で、広く当時の建築、彫刻、絵画、工芸など美術全体にわたる様式。バロックとロココとは、直線を嫌い、ゆがんだ、凝った装飾を好む点では共通しているが、バロックの力強さに比べて、ロココはむしろ優美で軽快であり、S字形の曲線、非相称の装飾、シノワズリ(中国趣味)を中心とした異国趣味が目立っている。社会背景としては、バロック時代の壮麗な宮殿に対する、新時代の社交場である優雅なサロンの勃興、有力な宮延の婦人たちの趣味の影響などがあった。例えば、暗く重いビロードに代って明るい色の絹織物や錦が流行したのも婦人たちの好みによるものであった。絵画ではヴァトー、ブーシェ、フラゴナールなど、彫刻ではファルコネ、ピガル、建築では、フランスにおけるガブリエルの装飾したヴェルサイユ宮の諸室、ボフランの建てたオテル・ド・スービーズなど、ドイツ・オーストリアではキュヴィイエがバイエルンの宮延にこの様式をもたらすなどした。 画面右にこのキーワードの再検索結果が表示されています。そちらもご覧ください。 |
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