作家名:
靉嘔
制作年:1970年
技 法:油彩 キャンバス
靉嘔の本名は、飯島孝雄。母音(アイウエオ)の中からアイオを選び、ペンネームとしたという。
池田満寿夫らとグループを結成、前衛作家として注目を集めていたが、27歳の若さで渡米する。以後、ニューヨークを拠点にポップアートの作家として活躍する。虹(にじ)色の作品でよく知られるようになり、今日「虹色の作家」として、世界的に有名である。可視光線を分解したスペクトルを物体に投射すると、虹色のストライプが出来、物体の固有色が無くなる。それはエックス線を投射して物体の本質を探る様であり、
靉嘔にとって虹色は、物体の本質を表現する重要な手段であった。この作品も、24色に分解された虹色のストライプによって描かれており、第11回サンパウロ
ビエンナーレ展でブラジル銀行賞を受賞している。まるで裸婦が空中へ飛翔するかの様であり、時の経過を象徴的に表している油彩画の代表作と言えよう。(仲田耕三「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年09月20日掲載)