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かぞく 家族
麻生三郎は終戦後の文章のなかで、これまでの日本の洋画が「人間や生活には関係なく遊離していた」ことを批判し、自身の人間性に基づく絵画観を説いている。その言葉通り、彼の今日までの画業は、自己を厳しく見つめて、絵画に人間性を刻み込んできた生涯であった。大戦中に松本竣介や靉光らと新人画会を結成し、自分の表現に忠実であろうとしたこともその表れと言えるだろう。そして、彼の描いた作品自身が、何よりもそれを雄弁に物語っている。1959年に制作されたこの作品には、街だろうか、暗紫色の定かでない背景と共に家族の姿が描かれている。家族をテーマとするのであれば、あたたかい家族の団欒(らん)を描いてもいいわけだが、この作品はそうでない。表面的なきれいごとではなく、時代の現実のなかで生活する生身の人間の姿を、心理的な面まで掘り下げて描いている。彼の求めた「生活のある絵」のすぐれた一例と言えよう。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年10月18日掲載に一部加筆)
カテゴリー:作品
リアリズムとは?【 美術用語 】 フランス語読みではレアリスムと言う。ふつう「写実主義」と訳すが、訳語よりも原語の方が幅広いニアンスを含んでいるため、近年はそのまま外来語として使うことが多くなっている。原語には「写す」の意味は含まれず、現実主義とか実在主義といった訳語の方が適切な場合が多いことや、その内容が時代や著述家によって異なり一義的でないからである。描写対象で捉えれば、慣習的に美しいものや高貴なものでなく、醜いものや庶民の生活の平凡な場面を描くことを言う。クールベやカラヴァッジオの作品がここに入る。描写方法の側面から述べれば、抽象化、歪曲化(デフォルマション)、様式化、理想化の方法をとらないものを言う。しかし、例えばダリの絵画は、対象を抽象化せず細部まで抽き込んでいる点でリアリズムと言えるが、自然の外観を著しく歪曲化している点でそうとは言えず、それぞれ相対的であり排他的な意味を持っている。なお、20世紀の抽象表現主義以後、抽象的なものや超再現的なものを含んでこの用語を使う傾向もある。 |
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