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ふしぎなくにA 不思議な国A
難波田は日本を代表する抽象画家の一人だが、抽象的な表現を手がけたのは予想に反してかなり遅く、40歳代も半ばを過ぎてからである。難波田が若いころ、彼の周辺ではヨーロッパからの影響を受けて抽象的な表現を試みる者が多かったが、このような風潮に対して「自分で抽象をはっきりつかめないのに、形式的に抽象絵画に入るのはいけないことだ」と考えていたという。79歳の時の作品「不思議な国A」は細やかな形が抑えられた色彩で、一つひとつ丹念に描き込まれ、静謐(ひつ)で深い詩情をつくり出している。時流に流されることなく、自分の目で確かめて獲得した抽象表現がこの作品によく表れている。難波田は、早稲田第一高等学院の学生だったころから、詩人・高村光太郎と親しく交わり、自分でも文学を志すことがあったというが、画面にあふれる詩情はこのことと無縁ではないだろう。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年09月06日掲載)
カテゴリー:作品
フレスコとは?【 美術用語 】 壁画製作技法のひとつ。フレスコとはイタリア語で「新鮮な」という意味。現在では、漆喰壁に描かれた壁画の総称として用いられることも多いが、本来はそのうちで、下地となる漆喰壁がまだ乾かないうち(すなわち湿っていて新鮮なうち)に水で溶いた顔料で描いていく方法をいう。この方法では、絵具が漆喰の表層に浸透し、乾燥するにつれて固着し、壁と一体となってしまうので、壁自体が破壊されない限り存続することとなる。剥落の心配もないのでモニュメンタルな壁画を描くための最良の方法といえる。手順としては、まず漆喰で壁の粗塗りを行い、その上に小型の素描から拡大したシノピアという実寸大の下書きを行う。あるいは、カルトンと呼ばれる実寸大の下図を用意する。彩色にあたっては、その日に製作できると予定した面積だけ上塗の漆喰を塗り、その上塗りが乾かないうちに、顔料を水だけで溶いて描いていく。短時間に、しかも修正がきかないので適確に仕事が行われるため技術と修練が必要である。 |
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