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よしのがわ 吉野川
都会で暮らす県人が時折思い出すのは、吉野川のおだやかな流れだという。また県外から移り住んだ人が心を奪われるのも吉野川の四季だという。石川真五郎は吉野川の風景を、繰り返し描いている。この作品は春の風景だろうか、流れの向こうには大きな空が広がり、雲はかすかに朱に染まっている。1910年、上京し、黒田清輝や岡田三郎助に学んだ石川は、二科展に出品した後、一水会に転じ、会員となった。しかし、戦争をきっかけに徳島に戻り、戦後はわずかに一水会に出品を続けるだけで、中央の画壇との交渉を断った。石川の遺品に、東京時代の絵の仲間からの近況を問い合わせる書簡がある。しかし友人たちの中央での活躍に背を向けて、吉野川のほとりに画架を立てる石川の胸のうちはどのようなものだったのだろうか。淡く透明な絵の具で描かれたこの作品は静かで美しい画面となっている。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1990年10月03日掲載)
カテゴリー:作品
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