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こいそよざくら 小磯夜桜
東京で生まれ盛岡で育った平賀敬は、子供のころ、家にあった油絵を見て、子供心にこの世の中が単純でないことを感じたと言う。こんな昔のエピソードにうなずけるところを、彼の作品は持っている。降るような夜桜の下で、酒宴をはる人々がいる。花びら一枚一枚を細密に描いた桜の華麗さに対し、身なりは神士淑女とも言える人々は、仮面に似た無表情さである。しかも酔態はみだれている。ある文学者は、彼の作品に、「遊楽のさなかの孤独」を読み込んでいるが、確かにここには、単純でない人間模様が秘められている。十年近いフランス留学の経験を持つ平賀は、浮世絵を数多くスケッチして学ぶなど、日本の伝統的な形やモチーフも自分の作品の中に溶かし込んでいる。「小磯夜桜」は、そんな彼の造形的な追求と現代の人間存在の追求とが合致したところで生み出された作品と言える。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年04月26日掲載)
カテゴリー:作品
ゴーギャンとは?【 作家名 】 パリに生まれ幼時をペルーで過ごす。南米航路の船員を経て、株を扱う会社で働くが、20歳代後半から絵を始め、30歳代後半には絵だけの生活に入る。絵の売れない苦しい生活の中、現代文明への反発と原始的な生活へのあこがれから北西部のポン・タヴェンに移り住み、その地に集まった画家たちのリーダーとなる。その後、ゴッホと南仏アルルで一時期を過ごした後タヒチ島に住み着く。印象派の影響を受けながらも、明確な輪郭線と色面によって内面的なものを表出する独自の作風を確立した。 |
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