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いでんせんしょくたいのあめのなかでけいじをまつ 遺伝染色体の雨の中で啓示を待つ
この作品を前にすると、だれもが今まで体験したことのない不安にも似た感覚に龍われるのではないだろうか。鳥カゴの中に、精妙に作られた人間の頭と手が収められ、鳥カゴには色とりどりのひもがからみついている。半透明の青白い肌の下から塗り込められた色ひもが浮かび上がっていて、血管を思わせるかのようだ。この気味悪さと色鮮やかなひもの美しさとの隔絶ぶりが、鳥カゴの中の人間の頭という非日常的な光景ともあいまって、言いようのない奇妙な感覚を呼び起こす。美術の表現方法は1960年代に入ると爆発的に多様化した。工藤はこの時期を代表する作家で、この作品は彼の典型的な作例だと言える。しかし、その価値は表現方法の新しさだけでない。それまで人間が気付かなかった感覚を形にしてみせたように、表現方法の新しさが精神の奥深い所に結びついている点にある。工藤は表現方法ばかりか、表現される内容も拡大してみせたのだと言えよう。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年12月24日掲載)
カテゴリー:作品
スタビルとは?【 美術用語 】 モビールは、アレキサンダー・コールダーの動く彫刻の総称で、スタビルは、コールダーの作品でモビールで無いものを呼ぶ。モビールは、1932年にコールダーがヴィニョン画廊で、手動式と電動式の動く彫刻を発表したとき、それらを指してマルセル・デュシャンが「モビール」と呼んだことに由来する。1930〜40年代には、電動式のレリーフや立体作品の他に、空気の流れと構成体自体の緊張関係、バランスによって静かに動くところに特徴を持つ宙吊りの金属板による構成体を作り、ふつうモビールと呼ばれるのはこのタイプの構成体のことである。またコールダー以外の作家にも、この種の原理を造形に用いた作家は多く、それらの動く作品についてもモビールと呼ぶことがある。スタビルは、1932年にモビールが発表された際に、ジャン・アルプが、それ以前にコールダーが作っていた動かない針金彫刻を一括してそう名づけたのが始まり。それ以来、コールダーの動かない鉄鋼彫刻もすべてスタビルと呼ばれている。 |
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