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とるそ トルソ
抽象的な形態による表現はすべて、極めて現代的であり、伝統的なものとは何のかかわりもないと考える向きもある。しかし、日本の木彫に新しい生命を吹き込んだ植木茂の作品を見れば、そのように単純化できない現代美術の幅の広さが理解できるだろう。植木は、「日ごろ仕事として木に向かいあっていると、木が自然物であるように、人間もまたそれに変わりないという敬けんな心が沸き出してくる」と言う。そして「自然と人間との和」を探るようにして鑿(のみ)を握った。彼の自然に対する精神は、長い伝統を持つ我が国の木の文化を支えた職人たちの精神とつながっているのである。この作品は確かに抽象的だが、「トルソ」と名付けられているように、人体を表したものである。彼は、人体をテーマにして現代的な形態を探究しながら、そこに日本文化の基層と結びつく、自然と人間の調和の願いを込めている。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年08月16日掲載)
カテゴリー:作品
アクアチントとは?【 美術用語 】 版画技法。銅版画は、凹版を製版する技法によって直刻法と酸腐蝕法に大別できるが、これは後者の内の一つ。まず銅板に粉末状のグラウンド(防蝕剤)を粗くまき熱して付着させ、その上に液状のグラウンドで描画する。これを酸腐蝕させると、描画部は残り、その背景には網目状の防蝕層を通過した酸によって徴細な点が刻まれる。グラウンドを除去し凹部にインキをつめプレス機で紙に刷り上げると、描画部は白く、背景には砂目状の徴妙な黒点が表われる。普通白く残したい部分から順に描画を重ね腐蝕を繰り返すので、描かれなかった部分はその度に腐蝕が進み、それを印刷すれば、砂目状の黒い調子が段階的に深まっていくことになる。アクアチントの語源は「水」であり、水彩画のように微妙な濃淡を表現できるという特徴を示している。17世紀前半にオランダで発明されたとされており、18世紀にフランス人ル・プランスによって確立された。同じ腐蝕凹版であるエッチングと併用されることも多い。 |
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