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とるそ トルソ
抽象的な形態による表現はすべて、極めて現代的であり、伝統的なものとは何のかかわりもないと考える向きもある。しかし、日本の木彫に新しい生命を吹き込んだ植木茂の作品を見れば、そのように単純化できない現代美術の幅の広さが理解できるだろう。植木は、「日ごろ仕事として木に向かいあっていると、木が自然物であるように、人間もまたそれに変わりないという敬けんな心が沸き出してくる」と言う。そして「自然と人間との和」を探るようにして鑿(のみ)を握った。彼の自然に対する精神は、長い伝統を持つ我が国の木の文化を支えた職人たちの精神とつながっているのである。この作品は確かに抽象的だが、「トルソ」と名付けられているように、人体を表したものである。彼は、人体をテーマにして現代的な形態を探究しながら、そこに日本文化の基層と結びつく、自然と人間の調和の願いを込めている。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年08月16日掲載)
カテゴリー:作品
アレクサンダー・コールダーとは?【 作家名 】 1898年アメリカに生まれる。1976年没する。工業学校で学びエンジニアとしての実務についた後、ニューヨークのアート・ステューデンツ・リーグで絵画を学ぶ。1926年パリに渡り、鋼鉄ワイヤーと木によって人物や動物をつくり始め、〈サーカス〉の連作に発展。1928年ニューヨークで初の個展を開催。1930年モンドリアンの作品を見て抽象芸術に開眼し、翌31年モンドリアン、カンディンスキー、ドローネー、モホリ・ナギらの、「抽象・創造」に加わる。1932年パリで初めてモビルを発表。空気の運動で動く彼の彫刻をモビルと名付けたのはデュシャンだが、基本的な色彩と生命形態的な形から成る表現は、モンドリアンの厳格な表現を大気に解放させたような大らかさを持っている。1950年代の終わり頃から、スタビルと言われる動かない彫刻も制作しながら序々にスケールを拡大しモニュメンタルな作品を生み出していった。キネティック・アートの先駆者の一人である。(「なぜか気になる人間像 徳島県立近代美術館所蔵名品展」図録(埼玉県立近代美術館)1992年) |
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