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せのひくいおれんじはまんなかあたり せのひくいおれんじはまんなかあたり
元永定正は、戦後の前衛美術の展開に大きな足跡を残した具体美術協会に加わり、絵具を大胆に掛け流して描いた絵画など、先鋭的な表現の作品で注目を集めた。その後は、この版画のように、自ら「抽象漫画」と称する親しみやすい作品を手がけている。現代美術と言えば、難しいと思う人がいるが、この作品を見れば、そのような考え方も変わらないだろうか。確かに抽象的な形から成った作品だが、その形自体、実にユーモラスではないか。元永は、理論を先行させるのではなく、「何でもいいから、おもろかったら、やろうか、と理屈抜きで描いている」と言う。そして自ら、理屈で絵を描く「知性派」に対して「アホ派」を名乗るなど、その「理論」もユニークである。しかし既成観念にとらわれず、自分が「おもしろい」と感じる表現を、思いのまま進めようとする彼の制作姿勢が、前衛的で、自由な遊びの精神の横溢(いつ)した作品を生んだのである。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年11月29日掲載に一部加筆)
カテゴリー:作品
新古典主義とは?【 美術用語 】 18世紀後半から19世紀初頭にかけてヨーロッパ中に広まった古典古代(ギリシヤ・ローマ)の復活を目指した美学上の運動や、建築、彫刻、工芸の各ジャンルにわたる美術の様式を指す。考古学的正確さへの強い感心と合理的美学に支えられた古代的モチーフの多用や、完成された表現を特徴とする。ヘルクラーネウムやポンペイの発堀、ギリシアや小アジアへの調査旅行によって、古代への関心が高まり、ヴィンケルマンが著した『ギリシア美術模倣論』などの美学上の影響によって、18世紀後半には支配的な傾向となった。代表的画家はラファエル・メングスだが、ラファエロ,コレッジオ,ティツィアーノや古代美術の作品に基づいて、グランド・マナー(大様式)と呼ばれる様式を生み出し、影響力を広げた。絵画の分野で最もすぐれた成果をみせたのはダヴィッドで、それをアングルが引き継いだ。新古典主義は、19世紀のアカデミズム芸術の基本原理として長く生き続けたが、同時に、遠い古代や異国に対する憧れと官能的なものへの傾斜により、ロマン主義芸術の先駆にもなった。 |
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