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しーそー1 シーソー1
1931年広島に生まれた吉原は、当初画家として出発したが、25才の時、版画を手掛け始める。1968年の第6回東京国際版画ビエンナーレで文部大臣賞を得たこの作品は、様々な表現を試行錯誤してきた彼の初期の制作活動の中で、記念碑的な意味を持つものである。同一版をユニットとして四方から突き合わせるという印刷プロセスは、観る者に作家の行為を生々しく追体験させる。宙空に突き放されたモチーフの持つ繊細な性的魅力は、物体(=版)として取り扱われる過程で凍結し、非人間的なものとして画面に定着されてしまう。一方で、操作された画像は、果てのない空間を不安定に漂い、どこまでも浮遊していくのである。現代社会の非人間性、更にそこに囚われ、身じろぐ現代人の感受性を、作品は視覚化する。版画という一種冷徹で、意外性を秘めた「工程」が、そこでは大きな役割を果たしていると言えよう。(竹内利夫「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年12月13日掲載)
カテゴリー:作品
アール・ヌーヴォーとは?【 美術用語 】 「新しい芸術」という意味。モダンスタイル(MODERN STYLE、英)、ユーゲントシュティール(JUGENDSTIL、独)ともよばれる。19世紀末から20世紀の初頭にかけて、フランス、ベルギーを中心としてヨーロッパで流行した芸術様式のことで、自分たちの時代に相応しいものを求める人々によって推し進められた。極めて装飾的な造形上の特徴をもち、それは時に、華美、装飾過剰とも思われかねない。花や葉などの植物を主題としたような曲線を好み、その有機的、生命的な表現は、絵画、デザイン、工芸、建築をはじめとして広い範囲に及んだ。デザインの分野では、ポスターが流行して、ミュシャは時代の子となり、家具調度品の工芸の分野では、ガレがガラス工芸などによって名を馳せ、建築の分野では、オルタやギマール、ガウディといった人々の活躍がみられた。 |
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