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しーそー1 シーソー1
1931年広島に生まれた吉原は、当初画家として出発したが、25才の時、版画を手掛け始める。1968年の第6回東京国際版画ビエンナーレで文部大臣賞を得たこの作品は、様々な表現を試行錯誤してきた彼の初期の制作活動の中で、記念碑的な意味を持つものである。同一版をユニットとして四方から突き合わせるという印刷プロセスは、観る者に作家の行為を生々しく追体験させる。宙空に突き放されたモチーフの持つ繊細な性的魅力は、物体(=版)として取り扱われる過程で凍結し、非人間的なものとして画面に定着されてしまう。一方で、操作された画像は、果てのない空間を不安定に漂い、どこまでも浮遊していくのである。現代社会の非人間性、更にそこに囚われ、身じろぐ現代人の感受性を、作品は視覚化する。版画という一種冷徹で、意外性を秘めた「工程」が、そこでは大きな役割を果たしていると言えよう。(竹内利夫「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年12月13日掲載)
カテゴリー:作品
ミニマル・アートとは?【 美術用語 】 1950年代より興り、1960年代に顕著になったアメリカ美術にみられる動向。アクションペインティングと抽象表現主義のある側面への反動として起った。1951年に白だけのカンヴァスおよび黒だけのカンヴァスを展示したラウシェンバーグや1956年にモノクローム絵画を発表したイヴ・クライン、「全一性」の教義を先取りしたバーネット・ニューマンなどが先駆者である。色面派やハード・エッジ派もミニマル・アートに関連しているが、厳密な意味においては、トニー・スミス、カール・アンドレ、ロバート・モリス、ドナルド・ジャッドらの高度に画一化された立体作品を指す。これらは、一切の虚像的な価値を排して最大限の視覚的単純さを保つことにより、見る者に曖昧さのない、全的で統一的な印象を与えるものと評価されている。「ミニマル」は「最小の、極小の」の意味で、1965年、イギリスの哲学者リチャード・ウォルハイムのエッセーの名から転用されたものである。 |
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