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しーそー1 シーソー1
1931年広島に生まれた吉原は、当初画家として出発したが、25才の時、版画を手掛け始める。1968年の第6回東京国際版画ビエンナーレで文部大臣賞を得たこの作品は、様々な表現を試行錯誤してきた彼の初期の制作活動の中で、記念碑的な意味を持つものである。同一版をユニットとして四方から突き合わせるという印刷プロセスは、観る者に作家の行為を生々しく追体験させる。宙空に突き放されたモチーフの持つ繊細な性的魅力は、物体(=版)として取り扱われる過程で凍結し、非人間的なものとして画面に定着されてしまう。一方で、操作された画像は、果てのない空間を不安定に漂い、どこまでも浮遊していくのである。現代社会の非人間性、更にそこに囚われ、身じろぐ現代人の感受性を、作品は視覚化する。版画という一種冷徹で、意外性を秘めた「工程」が、そこでは大きな役割を果たしていると言えよう。(竹内利夫「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年12月13日掲載)
カテゴリー:作品
水彩画とは?【 美術用語 】 広義には、水溶性の展色剤で練った顔料を使って制作された絵画をさす。古代エジプトのパピルス画、東洋画の紙本・絹本の類、中世ヨーロッパの彩色写本の挿絵など古くから世界各地で広く利用されてきた。狭義には顔料とアラビアゴムを練り合わせた絵具(水彩絵具という)で描いたものをいい、より狭義には、水彩絵具を透明水彩絵具と白色顔料を加えた不透明水彩絵具(グワッシュ)に分け、前者のみを指す。透明水彩は特に精選した微粉の顔料を用い粘り気が少なくなるように練ってある。水彩絵具の特性は透明なことで明るい色を表現する場合は、水で薄めるだけで、薄い絵具の層を通して画用紙その他の支持体面から光が多く反射して明るく見える。不透明水彩の場合は白を加える。単色で仕上げる水性絵具としては、茶色のビスタや、いかの墨から作る焦げ茶色のセピアを使ったものがよく知られている。18世紀から19世紀初頭のイギリスで大きな発達をとげ、特にターナーは油絵に劣らない色の明るさと鮮かさを表現する水彩技法を作り上げた。 |
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