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しるくすくりーんなんばー82 シルクスクリーンNo.82
鮮やかな色調の切り絵細工のような作品です。あるいは万華鏡の中をのぞいて見たような、そんな印象を持ったでしょうか。いくつもの同心円と六角形のパターン。散在する小さな円と、縦・横・斜めに画面上を駆け巡る線。よく見ていると色々なものに見えてきて、絵の前でしばらく立ち止まってしまいます。色の細かな破片たちが、画面のあちこちでさざめきあっているようです。色数もさほど多くはないのに、絶妙な色のバランスで、華やぎがあります。オノサトトシノブのこのような絵は、幾何学的抽象としばしばいわれています。戦前彼は、構成主義やキュビスムの影響を受け、その後、単純な形態の中でもとりわけ円に興味を示しました。そして幾何学的な形態の繰り返しの中に線やかたち、色の個性をくるみこんで、独自の作風を確立しました。ふつう、幾何学的抽象というのは「冷たい抽象」だと言われますが、彼の作品は観る者に手を差し出して、交流を求めているようです。(吉原美惠子「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1990年06月06日掲載)
カテゴリー:作品
未来派とは?【 美術用語 】 20世紀初頭、イタリアを中心に興った芸術運動。1909年2月20日、詩人マリネッティがパリの日刊紙『フィガロ』紙上に最初の「未来派宣言」を発表し、10年3月8日ボッチョーニ、カルラ、ルッソロ、バルラ、セヴェリーニがトリノの劇場で観衆を前にイタリアで最初の未来派運動宣言を行なった。新時代はそれにふさわしい生活様式と表現を必要とするとし、いっさいの過去を精算して速度とダイナミックな力の渦巻く機械文明の感覚を力強く表現することを主張した。造型の観点からは、対象の物質性を破壊してキュビズムから得た同時代性の思想を画面に定着し、運動の表現に新たな道を開いた点が注目される。運動としては1915年頃までで終ったが、ダダをはじめ20世紀芸術の諸運動に与えた影響は少なくない。印刷物を通じた幅広い広報活動をおこない、大正10年代の日本の美術・文学にも多くの影響を与えた。 |
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