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ふじさん 富士山
島は写真製版によるシルクスクリーンで様々な表現を試みている。この技法はポジフィルムをスクリーン上に転写した孔版の一種だが、単なる写真の複製にとどまらず、写真では得られない画面効果を造り出すことができる。ここで取り上げた作品は、静岡県富士市の風景を提った写真をもとにしている。富士山の裾(すそ)野に開けた富士市は古くから製紙業が盛んで、作品が造られた1970年代は、ばい煙とヘドロによる公害の町として有名だった。画面の煙突は、ばい煙を上げる製紙工場、手前はパルプの集積場、奥に見えるのは言うまでもなく富士山である。作者がどこまで意図していたかはわからないが、富士山が日本人の伝統的な意識を代表するとするならば、近代的な工場施設とその結果としての公害は、あまりに皮肉なコントラストを造り出していると言えよう。一見印刷むらに見えるような荒れた画面の処理も、この風景を一層陰惨なものにしている。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年08月30日掲載)
カテゴリー:作品
トリエンナーレとは?【 美術用語 】 「3年ごと」の意味。3年ごとに開かれる展覧会をいう。最も古いのは、1929年に始まった「ミラノ・トリエンナーレ」である。ミラノ・トリエンナーレは、3年に1度開催される国際デザイン美術展。1923年モンツァで開かれた国際装飾美術展が発展したもので、第3回まではビエンナーレ(隔年に行われる展覧会形式)制で、第4回以降、現在のトリエンナーレの形式をとるようになっている。正式には、「国際装飾および現代工業美術トリエンナーレ展」といい、日本は第11回展から参加している。このミラノ・トリエンナーレは、デザインを中心とした国際展であるが、その他にさまざまなジャンルのものがあり、新しいものでは、美術を中心とし、ボンベイで開催される「インド・トリエンナーレ」がある。 |
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