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しょねんへいあいか(ほしょう) 初年兵哀歌(歩哨)
浜田知明は、戦後の日本の版画界を代表する作家の一人である。浜田の表現の原点は、第二次世界大戦中の非人間的な従軍生活にある。それは、彼の人生観に深く関わる、決して消えることのない原体験と言えるものである。彼は、従軍生活から得たテーマを、銅版画で繰り返し繰り返し表現しているが、この作品の含まれる「初年兵哀歌」シリーズは、戦場から帰った浜田が真正面からそのテーマに取り組んだ記念碑的な連作である。「初年兵哀歌(歩哨)」には、雪明かりの光が小さく差し込むだけの暗く寒い兵舎の一室で、初年兵が、両手で握りしめた銃口を自分の首にあて、引き金を引こうとしている衝撃的なシーンが描かれている。浜田が「この戦争に生き残ったものとして、それは私がどうしても描かずにはいられなかったものである」と述べているように、この作品で戦争の非人間性を痛切に告発している。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年07月12日掲載に一部加筆)
カテゴリー:作品
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ビュランとは?【 美術用語 】 銅版や木口木版を彫るために用いる彫刻刀。全長約12cmの鋼鉄製の棒で、刃先は斜め45度に切断され、菱形か正方形の断面を持っている。他端から全長の3分の1の部分で折れ曲がっており、その先に木製の握りがついている。使用法は、指で先端の方向を定めながら、握りを手のひらで押し、版面に水平に近く彫り進める。刃先はV字型に版面に食い込み、明快で硬質な線が刻まれる。抵抗の大きいビュランを自在に操り、髪の毛の数分の1の線からあらゆる太さの線までを彫刻するには相当の熟練を必要とする。ビュランは、銅版画の中でも直刻法によるエングレーヴィング版画、そして木口木版画の中心工具であって、鋭い刻線によって繊細で精密な表現を可能にする。ところで、木口木版画も含めて線刻彫版画をエングレーヴィングと総称するが、またこの彫刻刀の名をとってビュランと呼ぶこともある。 画面右にこのキーワードの再検索結果が表示されています。そちらもご覧ください。 |
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