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なまけもの なまけもの
現代美術の第一線で活躍している泉茂は今日、幾何学的な形態の作品を描いている。具象性を排した抽象的画面から、「光・風・水といった自然を感じさせるメッセージ」が伝えられ、多くのファンを魅了している。しかし、彼の画業には、このような版画を制作の中心にした時期があった。戦後の前衛的な美術運動であるデモクラート美術協会で活動したのが、その時期である。版画の分野でも大きな業績を残したこのグループは、池田満寿夫など重要な版画家を輩出しているが、泉はそのなかでも代表的作家と言える。これは、ベンチに座る女性を写実的に描いたもののようだが、よく見ると、人の足とベンチの足が同一であるなど、不思議な要素が隠された作品である。具象的な形と空想的なイメージが混在し、ユーモラスだが、底知れない幻想感のただようこの期の版画の魅力が見てとれる。ここには、常に新たな表現を追求している泉の初期の姿がある。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年05月17日掲載)
カテゴリー:作品
遠近法とは?【 美術用語 】 三次元の空間を平面上に、立体感、奥行きを伴って表現するための技法。1436年、アルベルティの『絵画論』において、「絵画は眼を頂点とする三角錐の一断面にほかならない」と、科学の裏付けに基づいて初めて理論的に示された。現実に目の前にある対象物は、われわれの目から遠く離れてゆくに従って、小さく見えるようになる。つまり画面上の消失点(バニシング・ポイント)に向かって幾何学的に短縮され、画面上に示される。これは線遠近法とよばれるものである。これに対して、大気の影響によって、対象のもつ色が変化して見え、その輪郭や明度が不明瞭になることに基づいて遠近感をあらわす色遠近法といわれるものもある。また、線遠近法は透視図法ともいわれることがあり、たとえばレオナルドの「最後の晩餐」は、消失点を効果的に用いた遠近法の一例である。 |
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