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そよぐひとたち そよぐ人達
小作の描く画面には人間ばなれした異形の生きものがうごめいている。この作品も黄泉の国を思わせるような積み重なりの中から、いくつもの生きものが立ちのぼり、風にそよいでいる。日常生活では決して目にすることのない幻想の世界である。リトグラフを始めたばかりのころを、小作は次のように語っている。「何をどう描いて良いのか戸惑ってしまいました。その当然の結果として、知っている事だけでは間に合わず、空白を、想像や見たてで埋めることを強制されました。この想像し、でっち上げる事で絵の世界を創(つく)り出す面白さを知ったことが、私の版画の出発点であったと考えます」小作は手を動かすことであいまいなイメージを形にしているのだろう。「想像し、でっち上げる」と、はぐらかしているが、描かれたのは目に見える「知っている」世界でなく、意識下の世界だけに、より人間の本質的な存在を明らかにしていると言えよう。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年06月14日掲載)
カテゴリー:作品
アルプとは?【 作家名 】 1886年フランスに生まれる。1966年に没する(オランダ、バーゼル)。ワイマール美術学校、パリのアカデミー・ジュリアンに学ぶ。1912年ブラウエ・ライター、翌年シュトゥルムの活動に関わり、16年からはダダの中心的人物として活躍する。1925年にはシュルレアリスムの運動に参加。また1930年にはセルクル・エ・カレ、翌年に「抽象・創造」と、抽象美術の活動にも参加、ダダと抽象美術にまたがる幅広い活動を展開した。絵画の他にも、コラージュ、彩色レリーフ、ちぎり絵のコラージュ(ハピエ・デシレ)、彫刻等を手掛け、更に詩人としても活躍する。1954年ベネチア・ビエンナーレ展で国際彫刻大賞、63年フランス芸術大賞を受賞。1965年ロカルノ名誉市民となる。1958年ニューヨーク近代美術館、62年にポンピドゥ・センターで大回顧展が開催された。(「なぜか気になる人間像 徳島県立近代美術館所蔵名品展」図録(埼玉県立近代美術館)1992年) |
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