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そよぐひとたち

そよぐ人達

作家名:小作青史
制作年:1974年
技 法:リトグラフ 紙
小作の描く画面には人間ばなれした異形の生きものがうごめいている。この作品も黄泉の国を思わせるような積み重なりの中から、いくつもの生きものが立ちのぼり、風にそよいでいる。日常生活では決して目にすることのない幻想の世界である。リトグラフを始めたばかりのころを、小作は次のように語っている。「何をどう描いて良いのか戸惑ってしまいました。その当然の結果として、知っている事だけでは間に合わず、空白を、想像や見たてで埋めることを強制されました。この想像し、でっち上げる事で絵の世界を創(つく)り出す面白さを知ったことが、私の版画の出発点であったと考えます」小作は手を動かすことであいまいなイメージを形にしているのだろう。「想像し、でっち上げる」と、はぐらかしているが、描かれたのは目に見える「知っている」世界でなく、意識下の世界だけに、より人間の本質的な存在を明らかにしていると言えよう。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年06月14日掲載)


カテゴリー:作品
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文展とは?【 美術用語 】

文部省美術展覧会の略。1907年6月、勅令によって美術審査委員会官制がしかれ、続いて美術展覧会規程が告示公布され、最初の官制による展覧会として同年以降毎年秋季に開催された。当初から審査員の選出で紛糾し、美術界を統合した形をとるために当時日本画壇に分立した諸団体と洋画、彫刻の新旧両派から選出した委員に学識経験者を配して均衡をとった。1919年文部大臣の管理下に帝国美術院が設けられ帝国美術院展覧会に改組されたが、在野有力作家の吸収を目的として、35年文相松田源治により帝国美術院が改組され、37年ふたたび文部省美術展覧会として発足した。戦後は1946年日本美術展覧会(日展)として再出発したが、49年日本芸術院と日展運営会が共催することとなり、さらに58年から社団法人日展により運営されている。1937年からの文部省美術展覧会を新文展と呼ぶことがある。

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