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ねっけつかん 熱血漢
デュビュッフェが絵に専念するようになったのは、戦後間もない41歳のころである。最初は、当時の世界をせっけんしていたアンフォルメル(非定形)の画家として注目されたが、やがて独自の画風を打ち立てた。この作品は一見すると子供の落書きのような軽さがある。しかし実はこれが彼の目指したものなのである。彼は文化的、芸術的な伝統が人間を疎外していると考え、フランスの民芸や未開人の芸術、子どもの絵などを積極的に取り入れることで、それらの制約から逃れようとした。そして制作の現場では直感や偶然性、即興性をできるだけ大切にした。この作品をよく見ると、描いては塗りつぶし、夢中で制作している彼の熱中ぶりが伝わってくるかのようである。また、それでいて無駄な表現が全くなく、完成された技法の確かさを示している。ややサイズは小さいが、最も彼らしい作品だといえよう。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年06月07日掲載)
カテゴリー:作品
フォトグラムとは?【 美術用語 】 写真の特殊技法。カメラを用いずに、感光紙と光源のあいだに、透明、半透明、不透明なさまざまな物体をおいて露光させてつくるシルエット写真。これによって抽象的なイメージを構成することができる。光源にはろうそく、マッチ、懐中電灯、写真の引伸し機などを用いる。1921年頃から、前衛写真の先駆者であるマン・レイ(1890〜1976)や、ハンガリーの彫刻家・デザイナーで光と造形の関係を追求したモホリ=ナジ(1895〜1946)、ダダのメンバーであるトリスタン・ツァラ(1896〜1963)、クルト・シュヴィッタース(1887〜1948)などにより試みられた。日本では、瑛九(えいきゅう.1911〜1960)による作品が有名である。なお、写真技法ではあるが、この手法では、出来上るプリントは、当然のことではあるが1枚に限定され、通常の写真のように複数製作することは出来ない。 |
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