作家名:
マッタ
制作年:1983年
技 法:油彩 キャンバス
空中に浮かぶのは二人の人物、いや、二匹の化け物かもしれない。手足の長い、奇妙なこれらの生き物は、漂うのでもなく、疾走するのでもない。「皮肉な友情」という題を考えれば、片手を挙げてグッド・バイとでも言っているのだろうか。一見ユーモラスにも見える姿だが、そこには無意識をさぐる
マッタの、鋭くさめた感性が現れている。チリのサンティアゴに生まれた
マッタは、はじめパリのル・コルビジェのもとで建築を学んだ。しかし、まもなく画家に転向し、1935年から
シュルレアリスム運動に参加する。時は折しも第二次世界大戦前夜である。多くのシュルレア
リストたちと共に、
マッタもアメリカに亡命した。1940年代の
マッタの作品は、宇宙のはじまりを思わせるような、空想的で、しかも力強いものである。画面全体に描かれたそれらの作品は
ポロックらに影響を与え、戦後のアメリカの
抽象表現主義に果たした役割も大きい。(友井伸一「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1990年09月21日掲載)