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はとのように 鳩のように
エルンストは繰り返し鳥を描いているが、この作品もその一点である。人間の上半身を描いた輪郭の中に、鳥が二羽配置され、人間の目と鼻を形づくっている。しかし鳩(はと)の戯画のような印象とはうらはらに、画面は不気味ささえ与える。全面に深い朱と紫が塗り込められ、絵の具の下から板の木目が浮き出て、濃淡の襞(ひだ)をつくっている。あたかも心の奥底の不安をかきたてるかのようだ。1920年代、エルンストはアンドレ・ブルトンらと共に、シュールレアリスムと呼ばれる芸術運動を起こした。近代化に伴う合理主義に反逆し、精神の異常や夢、幻覚など、意識下の非合理的な領域に着目することで、精神と人間自体の解放を目指したのである。この作品を私達が不気味と感じるのは、おそらく日常意識しない深層心理を垣間見させられるからだろう。その意味で、典型的なシュールレアリスムの作品であり、エルンストらしい作品だと言えよう。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年10月11日掲載)
カテゴリー:作品
パフォーマンスとは?【 美術用語 】 広義には「実行」の意味であるが、美術の分野でパフォーマンスという場合には、絵画や彫刻などの作品によってではなく、美術家の身体そのものを用いて表現する行為を指す。1960年代に、美術家の非演劇的な行為による表現形式が生まれ、ハプニング、イヴェントなどと呼ばれたが、1970年代になってパフォーマンスという名称が広く用いられるようになった。歴史的には、未来派やダダの行った挑発的な行為もパフォーマンスに含める見方もあるが、狭くは1970年代以降の美術家による身体表現をいう。美術の情報的側面を純化するという意図からは、1960年代末に生まれたコンセプチュアル・アートと似た面を持っており、また、ヴィデオを用いることが多いことから、ヴィデオ・アートとも密接な関連をもっている。形式としては、肉体を物質として扱うもの、公衆との対話を重視するもの、儀式的な形式のもの、演劇的要素の濃厚なものといろいろなタイプがある。現代美術の一翼をになう新しい表現形式である。 |
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