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こどもとさかな 子供と魚
スペインは、ピカソ、ミロ、ダリなど今世紀の美術の巨人を生み出したが、彼らに続くスペイン美術の代表的作家の一人がこのアントニー・クラーヴェである。13歳からペンキ職人の徒弟として働きながら絵を学んだクラーヴェは、スペイン内戦の後移り住んだパリで同郷の先輩ピカソに出会う。この出会いが彼の画業にとって決定的となり、以後60年代までピカソの影響が強い作品を描いている。この作品は、暗い室内にいる子供と机の上の魚が、淡く白い光でほのかに照らされた美しい作品だが、その青く染まったような色調や、まるい顔の子供が着るアルルカン(軽業師)の服装などから、ピカソの青の時代の作品を思い浮かべることもできる。ピカソの直接的な影響を脱し、今日も現役で現代美術の新しい探究を続けているクラーヴェにとって、これは「原点」とも言える時期の作品なのである。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年11月01日掲載)
カテゴリー:作品
抽象芸術とは?【 美術用語 】 20世紀に生まれた非再現的な芸術の諸潮流を指す総称。広義には、芸術にみられる抽象的傾向全般を指し、新石器時代の装飾、古代エジプトやイスラム、ビザンティン、北方ヨーロッパなどの芸術を特徴づける幾何学文様、反自然主義的な様式化も含まれ、また、ヴォリンガーの説く抽象衝動による芸術に相当するものである。20世紀の抽象芸術は、フォーヴィスム、キュビスム、ドイツ表現主義などの世紀初頭の運動の論理的展開として生まれた。最初に抽象絵画を意図的に制作したのは、カンディンスキーで1910年とされる。また、彼の抽象芸術論は、その後の抽象芸術の進展に大きな影響を与えた。初期の抽象芸術には、マレーヴィッチのシュプレマティズム、タトリンの構成主義などロシア系芸術家の活躍が目立った。また、抽象芸術は大別して、色彩の表出力により人間の内的生命の直接表現に向う「熱い抽象」と、合理的幾何学形態により純粋造形に徹する冷たい抽象の二つの方向があり、それぞれに様々な運動を展開している。 |
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