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こしをかけるひと 腰をかける人
リン・チャドウィックは、ヘンリー・ムーア以後のイギリス現代彫刻を担う作家のひとりです。ロンドンに生まれ、建築製図家として出発、彫刻の制作は戦後になってから始めています。最初はコールダーの影響を受けてモビールや構成的な作品を発表していましたが、その後、金属による巨大な動物や昆虫のかたちをした廃墟のような作品を経て、1960年頃から四角や三角など鋭角的に面取りをした人体像を中心とした制作を行っています。この角張った特異なフォルムの人体は、実際にはありえない非現実的なかたちにもかかわらず、そこからやはり人間の身体が感じられるという矛盾を観るひとに与えます。この矛盾こそ、現代における人間の存在を問うもので、チャドウィックの主観的なリアリズムともいえる、彼の人間に対する感情のメタファーとして変形・歪曲された人間の姿が、ここでは示されています。(安達一樹「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1990年07月04日掲載)
カテゴリー:作品
タブローとは?【 美術用語 】 ラテン語で板を意味するタブラ(tabula)に由来する。元来は、西欧美術の板絵のことで、テンペラあるいは油絵具を用いて樫、ぶな、ポプラ、マホガニーなどの木材に描いた作品を示す。14世紀後半から、画枠に張ったキャンバスに描いた作品も含む持ち運びが可能な絵画を指すようになり、建築物に描かれた壁画や天井画と対置して用いられた。額絵(額画)とも訳されるが、紙や地塗塗料が施していない布地に直接描かれた作品は含まない。今日タブローと言うと、出来上った絵画の意味で、作者の思想や構想が画面に組み立てられ完全化されたものを指すことが多い。エチュードなどは含まず、完全に仕上げられた独立した作品を意味する。ただし近代以降、作品の「完成」の概念があいまいとなっており、現代美術に当てはめるには適切でない状況も生まれている。 |
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