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ちゃくいのぽもな 着衣のポモナ
フランス南西部にあるバニュルスで生まれたマイヨールは、ロダン、ブールデルとともに近代彫刻の三大巨匠として知られている。画家を志した青年時代に影響を受けた、ゴーギャンらの新しい美術傾向を生かしながら、20世紀彫刻の出発点をつくった作家でもある。マイヨールの作る女性像は、おおらかに成熟した官能的な女性像であり、この作品も例外ではない。 「ポモナ」とは、春の神、果実と花園の女神である。マイヨールはその幸福な女神のイメージを、たくましく、豊かで優雅に表現している。彼の作品の中でも評価の高い一点である。彼の彫刻の特徴は、この作品に表れているような単純明快な構成と、滑らかな肉付けにあるが、それは彼の愛したギリシャ美術初期の清新な生命感あふれる表現と、近代フランスの新しい感性を統合したものといえるだろう。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年05月31日掲載に一部加筆)
カテゴリー:作品
脂派とは?【 美術用語 】 一般に明治美術会系の画家の画面が脂っぽい印象を与えることから、世間がこの系統の作家と作品を揶揄して用いた名称。紫派と呼ばれる黒田清輝を中心として形成された外光派との対比で用いられた。ほかに旧派、北派、変則派とも呼ぶ。1893年ラファエル・コランにサロン風の外光描写を学んだ黒田が帰国するまで、日本の画家は外光描写を知らず褐色を基調として明暗のコントラストを鳶色あるいは黒で表現したため、画面は暗く脂っぽいものとならざるを得なかった。それに対して明るく感覚的な黒田の外光表現は清新な感動をもって若い画家に迎えられ、やがて当時唯一の官展であった文部省美術展(文展)の画風を支配していった。ジャーナリズムは両者の対立を脂派と紫派の抗争とあおったが脂派は画壇の片隅に追いやられていった。 |
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