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こどくなしじん 孤独な詩人
イタリアの画家、キリコは、非現実的な物の奇妙な配置によって夢を現実化する、神秘的で瞑想的な作風で知られる。彼は、1917年パリで形而上学絵画派を提出した。またシュールレアリスムの先駆者の一人としての評価も高い。この作品は、彼の絵画にもよく現れる、マネキンのような人体を表したブロンズ像である。やや左に体をねじり、少し首を傾けて腰かける詩人の体は、各部分を互いにはめ込んだり、ネジや波形のハンドルで結合したりすることによってできているように見える。それは、キリコが自らの感情を切り崩し、それらを再びつなぎ合わせることによって生まれたのである。造形のこの危うい均衡は、その回りの音を遮断し、更にそれを見る者の感情までも切断してしまうだろう。しかし、それと同時に、キリコ晩年のこの作品は一種の落ち着きを示している。また渦巻模様や浅く腰かけた姿勢も愛らしい。(友井伸一「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年06月07日掲載)
カテゴリー:作品
オフセットとは?【 美術用語 】 平版印刷の一種。版胴、ゴム・ブランケット、圧胴の3つの円筒が接触しながら回転する三胴仕立の構造で印刷する。3つのローラーによって、インキが移動し、原版の形象が間接的に紙に転写される。版胴には金属平版の版が巻いて取り付けられ、圧胴で用紙を巻き込み、中間にあるゴム・ブランケットによって、版胴の画線部についたインキを仲介して用紙にうつしとる。製版技法の面から言うと、リトグラフ(石版画)と同じ平版である。そのことから、アメリカでは、オフセット・リトグラフと呼ぶこともある。オフセット印刷は、原画を写真撮影し焼き付け製版する電気的化学的処理の過程で網点ができる。この点が、リトグラフと簡単に区別することができる特徴である。オフセットは、主として写真などの複製を工業的に大量高速印刷する場合に用いられている。しかし、作家がオフセットの効果を制作意図に必要なものと認め、作家自身又は作家の監督のもとに制作することで、ひとつの版画技法として生かされている。 |
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