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おんなのきょうぞう(かいこされた) 女の胸像(回顧された)
ダリは、ピカソやミロと並ぶスペインが生んだ20世紀美術の巨匠として、またシュールレアリスムの代表的作家として、あまりにも有名である。彼は、マドリードの王立美術アカデミー時代に受けたフロイトの精神分析学の影響から出発して、幻想的な世界を極めて写実的に描き出す独特な作品を生み出した。その特質は絵画だけでなく、このような彫刻の分野でも変わることはない。トウモロコシを首飾りのようにつけた美しい女性の胸像の頭には、フランスパンが帽子のように載せられ、その上には、ミレーの「晩鐘」に描かれた祈る農民をかたどったペン立てが置かれている。現実にはあり得ない光景や、古い彫刻のイメージではとらえられない表現に、はじめて見る者はとまどってしまう。しかし、ダリは、そんな私たちの美術に対する平凡な理解や、日常的な常識にとらわれている姿を笑いながら、その問い直しを迫っているのである。(森芳功「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年10月25日掲載)
カテゴリー:作品
象徴主義とは?【 美術用語 】 サンボリスム。1880年代の後半にフランスでおこった反写実主義的な運動。はじめは、詩人モレアスの「象徴主義宣言」によって明確にされているが、マラルメ、ランボー、ヴェルレーヌらを中心とした、詩語の音楽性を重視し、語音の響きによって内的生命や特別の観念を象徴させようとする文芸上の運動から始った。美術上の象徴主義は、これらの詩人たちの影影のもとに遅れて現われた、反写実主義的な傾向を指すが、文芸の場合ほど明確な主張や運動ではなかった。直接的には、批評家オーリエの論評「絵画における象徴主義」(1891)で「芸術作品の必須条件は、1理念的であること、2象徴的であること。3総合的であること。4主観的であること。5(以上の帰結として)装飾的であること。」と宣言されており、ゴーガンを中心としたポン=タヴァン派や、ドニを理論家としたナビ派を指す。後に象徴主義に対する見解は広まり、神秘的な主題を扱い、宗教的・詩的な観念の表現を試みた世紀末の作品も含まれ、ルドン、モロー、クリムトらが代表的作家とされる。 |
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