バーバラ・ヘップワースは、イギリスの女性彫刻家です。
ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに学び、そこでは
ヘンリー・ムーアと同窓でした。卒業後、イタリアに留学、1932年、画家のベン・ニコルソンと結婚(51年まで)、またフランスへ旅行してブランクーシ、
ピカソ、
モンドリアンなどのヨーロッパ第一線の前衛美術家たちと交流しています。33年には、進歩的な芸術家のグループ「ユニット・ワン」に参加、以来イギリスの
抽象彫刻を代表する一人として活躍しました。彼女の作品は、34年頃から幾何学的で
構成主義に近い作風が続きましたが、その後有機的で詩的性格を持つようになりました。人間の胴体を意味する「
トルソ」と題されたこの作品も、金属で造られ、
抽象的・構成的なかたちをしていますが、そこには生命感が満ちあふれ、人間のぬくもりさえ感じられます。(安達一樹「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1990年06月13日掲載)