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じつげんしていないぷろじぇくとAこんぽうされたほいっとにーびじゅつかん 版画集〈実現していないプロジェクト〉a.梱包されたホイットニー美術館
パフォーマンスの先駆者の一人クリストは、ブルガリアに生まれ、チェコスロバキアのプラハでデザインを学んだ後、アメリカで活躍している。この作品は、一枚の版画としても十分鑑賞に耐え得るものだが、本当の価値は描かれた内容にある。20世紀の美術は、1960年ごろになると急激な変化を見せ始め、若い作家たちによってアース・ワークやイベントなどと呼ばれる、従来の絵画や彫刻といった概念ではとらえ切れない表現が行われるようになった。クリストもそのような一人で、建物や橋などさまざまな建築物の梱包を手がけ、ついには実際の海岸や島、渓谷などの自然を数十キロにおよぶナイロン布で包み込んだ。梱包することで物体を既成の意味から切り離し、人間と物体の関係をあいまいに保とうとしたのだという。この作品には巨大な布で包まれたホイットニー美術館が描かれている。クリストは巨大な布で包まれたホイットニー美術館を描こうとしたのではなく題名通りいまだ実現していない建物の梱包という着想を記録しようとしたのであり、いわばプロジェクトの計画書なのだと言えよう。(江川佳秀「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1988年06月21日掲載)
カテゴリー:作品
ロココとは?【 美術用語 】 18世紀にヨーロッパで流行した装飾様式。バロック様式に続き、新古典主義に先立つ様式で、広く当時の建築、彫刻、絵画、工芸など美術全体にわたる様式。バロックとロココとは、直線を嫌い、ゆがんだ、凝った装飾を好む点では共通しているが、バロックの力強さに比べて、ロココはむしろ優美で軽快であり、S字形の曲線、非相称の装飾、シノワズリ(中国趣味)を中心とした異国趣味が目立っている。社会背景としては、バロック時代の壮麗な宮殿に対する、新時代の社交場である優雅なサロンの勃興、有力な宮延の婦人たちの趣味の影響などがあった。例えば、暗く重いビロードに代って明るい色の絹織物や錦が流行したのも婦人たちの好みによるものであった。絵画ではヴァトー、ブーシェ、フラゴナールなど、彫刻ではファルコネ、ピガル、建築では、フランスにおけるガブリエルの装飾したヴェルサイユ宮の諸室、ボフランの建てたオテル・ド・スービーズなど、ドイツ・オーストリアではキュヴィイエがバイエルンの宮延にこの様式をもたらすなどした。 |
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