オスカー・ワイルド原作の『ドリアン・グ
レイの肖像』の舞台用の脚本である。せりふの部分はタイプラターで打たれ、そこに
ダイン自筆の書き込みが記入されている。それらと、舞台衣装などのスケッチや版画が合わせて綴じられている。版画は十二点入っており、そのうち六点が別刷りで付いている。演劇というのは文学、音楽、舞踏、美術という要素が込められた一種の総合芸術でもある。
ジム・ダインは、それを本という形式を用いて、さらに集約して作品化した。アーティスツ・ブックスの出版を得意とする
ロンドンのペテルブルグ社より出されている。(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)