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はんがしゅう<りゅうさ>03 かがみのまえのふたりのおんな 版画集〈流砂〉III 鏡の前の二人の女
ピエール・ルヴェルディ著。一九六〇年に没したシュルレアリスムの詩人、ピエール・ルヴェルディの最後の詩にピカソが挿絵を寄せたもの。ピカソは一九五三年頃から、アトリエでの画家とモデルが繰り広げる様々な情景を、日記のように日付を記入しながら大量に制作する。〈流砂〉には、この「画家とモデル」をテーマとする作品のうち、一九六四年から六五年に制作された版画十点が収められた。全てのものがいつかは死に絶えるように、詩人にも必ず死は迫ってくる、こんな当たり前のことが、死に直面した詩人の胸をよぎった。空虚さを埋めようとして、ほとんど狂気ともいえるほど情熱的に生きてきたのは、なんと危なっかしいことだったのだろうか。私は港を出る/細長い航路をたどって/そして死に際して私は立ち戻るのだ、全てをはぎ取られた自分に/時に、ピカソは八十三歳から八十四歳。一つ一つ日付を書き入れ、性的な欲望よりもむしろ、禁欲的な緊張感さえ感じさせる画面に、生きてきた証をなおも刻みつけたいという、偉大なる老画家の孤独な意志が伺える。(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)
カテゴリー:作品
素描とは?【 美術用語 】 紙などの表面に、人物・風景などを、単色の線で描き出したもの。陰影や色彩がつけられる場合もあるが、主体は線描である。用具としては、チョーク、クレヨン、木炭、メタル・ポイント・ペン・鉛筆などがある。制作の目的ないし動機により、クロッキー,スケッチ、エスキース,下絵、エボーシュ、カルトン,エテュードなどの名称で呼ばれるが、いずれにせよ本来絵画や図案を描くといった創作のための予備的、準備的段階の産物であり、ギリシア・ローマの時代から言い続けられてきたように、建築、彫刻、絵画をはじめ工芸類を含むあらゆる造形の基礎となるものである。造形教育の手段としてもその効用は認められている。しかし、近代ではその特有の芸術的価値が認識され、素描自体を目的とする作品が現われて、独立した絵画の一分野としてみなされるようになっている。20世紀のものでは、瀟洒さと的確さで知られるマチスや、ゆるぎない形と創意に満ちたピカソのものが有名である。なお、素描とドローイングなどにはニュアンスの相違があるが、普通はフランス語のデッサンとほぼ同義に用いられている。 |
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