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むだい No.1074(P14) 無題
ポロックは、床に拡げた巨大なカンヴァス上で、身体を一杯に使って、棒や筆の先から絵具や塗料をまき散らす、ドリッピングという方法で制作したアメリカの画家である。大酒飲みだったポロックは、1956年、44才の時に自動車事故で亡くなり、派手でエネルギーあふれる作品を残して、第二次世界大戦後のアメリカの伝説となった。この作品は、彼がドリッピングを始める数年前の版画である。現実の物の形の痕跡を残さない、のちの巨大な作品とは違い、この作品は、例えば人間が向い合い、ダンスでもしているかのような印象を与える。画面では、今、まさにイメージがゆれ動きながらたちのぼっている。このような作品を見ていると、物のイメージが破壊されながらも、再び、新たに生成していく様が感じられる。さらにまた、小さな画面にポロックが託した個人的な感情まで、垣間見ることができるようで、楽しい。(友井伸一「文化の森から・収蔵品紹介」讀賣新聞1989年08月02日掲載)
カテゴリー:作品
未来派とは?【 美術用語 】 20世紀初頭、イタリアを中心に興った芸術運動。1909年2月20日、詩人マリネッティがパリの日刊紙『フィガロ』紙上に最初の「未来派宣言」を発表し、10年3月8日ボッチョーニ、カルラ、ルッソロ、バルラ、セヴェリーニがトリノの劇場で観衆を前にイタリアで最初の未来派運動宣言を行なった。新時代はそれにふさわしい生活様式と表現を必要とするとし、いっさいの過去を精算して速度とダイナミックな力の渦巻く機械文明の感覚を力強く表現することを主張した。造型の観点からは、対象の物質性を破壊してキュビズムから得た同時代性の思想を画面に定着し、運動の表現に新たな道を開いた点が注目される。運動としては1915年頃までで終ったが、ダダをはじめ20世紀芸術の諸運動に与えた影響は少なくない。印刷物を通じた幅広い広報活動をおこない、大正10年代の日本の美術・文学にも多くの影響を与えた。 |
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