ぐるぐるアートワード
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ぐるぐるもくじ


女の胸像(回顧された)



女の館(徳島会場不出品)



オーヴァーストリート



オーギュスト=ガブリエル・ゴドフロワの肖像(独楽をまわす少年)



「オーストリア造形芸術家協会(分離派)−〈ゼツェッシオン〉−年報第1号」



「オーストリアの月々の絵」



「オーストリアのポスター芸術」



「オーストリア・ハンガリー帝国印刷局 1804-1904」



オートゥイュ鉄橋より−『エッフェル塔三十六景』のための習作



オート・ビオグラフィー



オートマティスム



海景−「聖クレア」シリーズより



回顧作品その2−ピンポン・ルーム, 1960−



海藻



階段をおりる裸体 No.2



甲斐庄楠音



海浜遠望



海浜風物図



解剖学



買物帰りの女[ジャン=シメオン・シャルダンの原画による]


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あけぼのむらものがたり

あけぼの村物語

作家名:山下菊二
制作年:1953年
技 法:油彩 キャンバス
文学の世界にルポルタージュ文学というジャンルがあります。それと同じように、一時期の山下の作品を「ルポルタージュ絵画」と呼ぶことがあります。実際に現場に足を運び、そこで取材したことを作品を通じて社会に訴えようとしたのです。「あけぼの村物語」もそのひとつです。1953年に山梨県曙村(現在の中富町)で起こった地主と村人との騒動に取材しています。山下は村人の立場に立って、この事件を広く社会に訴えようとしました。 この村の地主は、戦前から村人を人とも思わない扱いを繰り返し、借金のかたに病人の布団を引きはがしたり、子供をだまして土地の権利書を取り上げたりしていたということです。戦後、村人は結束して立ち上がりましたが、抗議行動り先頭に立っていた若者が、ある日河原で怪死体となって発見されました。画面に描かれた血の海に倒れる人物がその若者です。画面右の首をくくる老婆は地主が経営にかかわっていた銀行の偽装倒産で預金を失った老婆を表し、中央に首をうなだれる農民が手にする青麦は、地主が強引に計画を変更して村道を自分の持ち山に通したため、収穫前に抜き取られた村人の麦を示しているということです。美術を言葉どおり美しいものと考える人は、この作品を前にしておそらく当惑されることと思います。また芸術が俗世間を超起した存在だと考える人にとっても、理解を超えた作品でしょう。この作品だけではありません。山下が残した作品郡は、私たちが目をそらしてやり過ごしてきた社会の暗部を執拗(しつよう)に訴え続けています。山下にとって絵を描くという行為は、社会とかけ離れた行為ではなく、積極的に社会とかかわっていくための手段だったといえるでしょう。


カテゴリー:作品
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ステンシルとは?【 美術用語 】

広く捉えれば、孔版と同じ意味で使われる。孔版は、他の版形式(凸版、凹版、平板)が全て版材に盛ったインキを紙に転写するのに対して、孔版は版膜にあけられた孔をインキが通過することで印刷される。従って原画は左右逆にならず、またインキの盛り上げも自在である。またステンシルという用語は、限定して、型染の技法あるいは型紙を使った版画技法に対して用いる。防水性の原紙やスチロールの薄板などの型紙に文字や模様を切り抜き、それを紙や布の上におき、その切り抜かれた孔の部分から絵具、インキ、染料をすり込む技法である。日本でも古くから、薄い美濃紙を渋で貼り重ねた防水性の渋紙に型を切り抜いて版をつくる合羽版(かっぱばん)が行われている。タイプ孔版の原紙や、シルクスクリーン印刷の型紙(原版)のこともステンシルと呼ぶ。

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けんさくけっか

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ステンシル

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徳島県立近代美術館2006