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あけぼのむらものがたり

あけぼの村物語

作家名:山下菊二
制作年:1953年
技 法:油彩 キャンバス
文学の世界にルポルタージュ文学というジャンルがあります。それと同じように、一時期の山下の作品を「ルポルタージュ絵画」と呼ぶことがあります。実際に現場に足を運び、そこで取材したことを作品を通じて社会に訴えようとしたのです。「あけぼの村物語」もそのひとつです。1953年に山梨県曙村(現在の中富町)で起こった地主と村人との騒動に取材しています。山下は村人の立場に立って、この事件を広く社会に訴えようとしました。 この村の地主は、戦前から村人を人とも思わない扱いを繰り返し、借金のかたに病人の布団を引きはがしたり、子供をだまして土地の権利書を取り上げたりしていたということです。戦後、村人は結束して立ち上がりましたが、抗議行動り先頭に立っていた若者が、ある日河原で怪死体となって発見されました。画面に描かれた血の海に倒れる人物がその若者です。画面右の首をくくる老婆は地主が経営にかかわっていた銀行の偽装倒産で預金を失った老婆を表し、中央に首をうなだれる農民が手にする青麦は、地主が強引に計画を変更して村道を自分の持ち山に通したため、収穫前に抜き取られた村人の麦を示しているということです。美術を言葉どおり美しいものと考える人は、この作品を前にしておそらく当惑されることと思います。また芸術が俗世間を超起した存在だと考える人にとっても、理解を超えた作品でしょう。この作品だけではありません。山下が残した作品郡は、私たちが目をそらしてやり過ごしてきた社会の暗部を執拗(しつよう)に訴え続けています。山下にとって絵を描くという行為は、社会とかけ離れた行為ではなく、積極的に社会とかかわっていくための手段だったといえるでしょう。


カテゴリー:作品
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石井柏亭とは?【 作家名 】

1882年東京都に生まれる。父は日本画家の石井鼎湖。父の指導により早くから日本画を修業し、日本美術協会展などに出品。1894年、神田の共立中学校に入学するが翌年退学し、石川欽一郎らの影響で水彩画を学ぶ。1898年浅井忠の門下に入り、明治美術会に参加。1904年中央新聞社に勤め、東京美術学校西洋画科選科に入学。1907年上京し、森田恒友らと雑誌『方寸』を創刊。1910〜1912年渡欧。1913年、丸山晩霞らと日本水彩画会を創立、翌年二科会を創立。1935年帝国美術会員となって二科会を退会、翌年一水会を結成。(「みづゑのあけぼの 三宅克己を中心として」図録 1991年)

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