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わたしととりとおんがくと02.えびすまわし わたしと鳥と音楽と (2)恵比寿まわし
山下は「おんがくのほん」という絵本の挿絵を描いています。挿絵は全部で八点あり、順を追っていくと山下の半生をたどることのできる自叙伝となっています。この作品は冒頭から二番目。山下の出身地、三好郡井川町辻で過ごした少年時代の思い出を描いてます。戦前の辻の町には恵比寿まわしという正月の行事があり、家々を回ってくる人形遣いの人形に頭をなでてもらうと、願いがかなうといわれたということです。人形に手を差し出しているのが、少年時代の山下です。いうまでもなく、そのころ普通の男の子の願いは、軍人になることでんた。しかしここで山下が願っているのは画家になることです。画面の右下にはひげを生やした将軍の姿がありますが、その下には絵筆とパレットを手にして将軍の姿を描く画家の姿があります。ところでこの絵には、人形や少年の後頭部などに、奇妙な目が描かれています。山下の作品には、しばしばこのような目が登場し、画面の印象を複雑なものにしてます。山下によると、この目は少年時代に感じた大人の視線だということです。少年時代の山下は度の過ぎたいたずらを繰り返し、町の大人の注意を集めていました。道を歩くといたるところで大人の目が光っているのを感じたといいます。画面の背景には影のように人々の顔が描かれていますが、この人たちも山下を監視しているのかもしれません。もっとも、戦争中に物事の本質を見極める目を持っていなかったという反省の意味も込められています。山下は戦争中、出征先の中国で軍の残虐行為に加担させられたといいますが、その時の反省だというのです。山下が描き残した作品には、さまざまな形で郷里の記憶が投影されています。その中でもこの作品は最も端的に現れた一点といえるでしょう。
カテゴリー:作品
ハプニングとは?【 美術用語 】 1950年代後半から60年代に行われた非演劇的、脱領域的な表現形式。演劇や公演芸術との近親性が著しいが、伝統的な制作・公演の原理を否定し、伝統芸術の時間的秩序を打破して「偶然性」を最も尊重しているため、自然発生的で筋書きのない演劇的出来事といった性格が強い。ハプニングの名称は、1959年ニューヨークのルーベン画廊で開催された、アラン・カプローの「6部からなる18のハプニング」に由来し、遠くは未来派、ダダ、直接にはアクション・ペインティングや作曲家ジョン・ケージの即興の概念を背景としている。芸術家が行為者となって日常的な演技を即興的に行い、またしばしば観客の参加を要請するとともに、提示されたオブジェと一体となった環境を形成し、複合感覚的体験を強調した。代表的なハプナー(ハプニングを行う作家)には、オルデンバーグ、ジム・ダイン、レッド・グルームス、ラウシュンバーグなどや、ヨーロッパを中心とするフルクサスグループ、日本の具体美術協会のメンバーなどがいる。 |
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