この作品は、長崎系の洋風画のひとつで、オランダの植民地であったインドネシアと関わる風景を描いたものと思われる。西洋の建築物とともに、白人男性とインドネシア女性が組み合わされて描かれている。遠近表現や、雲の形態をはっきり区切らず空と混じり合うように描く点など、油彩画の技法や表現方法を在来の画材で試みている。樹木の葉を様式的に重ねる表現は、西洋の表現を模しながらも漢画の素養が混入している。このような伝統的技法による折衷的表現が、長崎系の洋風表現の多くであった。(「近代日本画への道程 「日本画」の19世紀」図録 1997年)