作家名:
小田海僊
制作年:1815年
技 法:絹本着色
江戸後期における中国趣味は、知識人を中心にして市民層にも広がりを見せ、
円山四条派に連なる画家にも中国絵画の影響を与えていく。そのような状況のなかで、海僊のように、師の没後とはいえ、四条派から南画家に転向する人も表れた。彼は、元明の文人画を軸としながら、画院系のものも含む中国絵画を学び、ときには中国の風景を描きながら四条派風の叙情性を見せた。本図は、南豊の落款を持つ初期の作例である。四条派からの転換をはかる時期のもので、謹厳な中国絵画の学習のようすがうかがえる。(「近代日本画への道程 「日本画」の19世紀」図録 1997年)