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ふようくじず 芙蓉狗児図
奇岩と芙蓉の組み合わせや、緑のなだらかな土坡と後方より流れ来る川、あるいは砂子による霞の表現を見ると、江戸後期の狩野派の表現にならったものと考えることができる。たとえば、土坡の上に描かれた狗児と鳥たち、奇岩を桜などにそれぞれ替えれば、狩野惟信に似かよった作品<四季花鳥図屏風>(板橋区立美術館)がある。また彼には、同じ奇岩に芙蓉を配した屏風、<花鳥図>(埼玉県立近代美術館)が残されている。本図に認められる勝園雅邦と同じ落款の作品が、幕末期にあることから、「木挽町画所」に知られている、雅邦の修行時代を伺うことのできる作品と考えることができる。明治維新直後の木挽町の大火で類焼し、雅邦はすべてを失っている。雅邦の初期の作品は、あまり知られていないが、そのなかで風炉先屏風に描かれた本図は、貴重な存在といえる。フェノロサや天心と出会うことで、日本絵画の「近代化」の本流を歩くことになる雅邦の、画業の出発点を知ることができる作品である。(「近代日本画への道程 「日本画」の19世紀」図録 1997年)
カテゴリー:作品
ビュランとは?【 美術用語 】 銅版や木口木版を彫るために用いる彫刻刀。全長約12cmの鋼鉄製の棒で、刃先は斜め45度に切断され、菱形か正方形の断面を持っている。他端から全長の3分の1の部分で折れ曲がっており、その先に木製の握りがついている。使用法は、指で先端の方向を定めながら、握りを手のひらで押し、版面に水平に近く彫り進める。刃先はV字型に版面に食い込み、明快で硬質な線が刻まれる。抵抗の大きいビュランを自在に操り、髪の毛の数分の1の線からあらゆる太さの線までを彫刻するには相当の熟練を必要とする。ビュランは、銅版画の中でも直刻法によるエングレーヴィング版画、そして木口木版画の中心工具であって、鋭い刻線によって繊細で精密な表現を可能にする。ところで、木口木版画も含めて線刻彫版画をエングレーヴィングと総称するが、またこの彫刻刀の名をとってビュランと呼ぶこともある。 |
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