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ふじまきがり 富士巻狩
正明の銅版画技術は、極めて高いものがあり、<ヒポクラテス像>(神戸市立博物館蔵)のように、原画を模したものとはいえ、人物の内面性まで捉えた迫真的な表現を可能とした。西洋的な現実的空間表現や、人物の内面表現の方法も身につけていた。それに対して、この<富士巻狩>は、富士を中景からそびえさせて、合理的空間を無視して描かれている。蒔絵の意匠と関わりがあるのか定かではないが、現実的な動作や表情を見せる人物との大小比を無視した同居は、不思議な印象を与える。正明は、東京美術学校の助教授として、学生の指導に尽力したが、非職を命じられ、この作品を描いた前年には、非職満期となっている。理由は、不当な給与体制とも、校長岡倉天心との対立ともいわれているが、以後、美術史の前面から消えている。巻狩に関わる様々な人物を俯瞰的に描いたこの作品に、内面的な意味を込めようとしたものと解釈することはできないか。(「近代日本画への道程 「日本画」の19世紀」図録 1997年)
カテゴリー:作品
ウォーカーとは?【 作家名 】 1911年ノースキャロライナ州生まれ。生涯のほとんどを農家の季節労働者として、転々と移動し働いた。彼女が絵を描き始めたのは1972年。自分を暴行した男の殺人罪で、服役中の時だった。鉛筆やフェルトペンを使い、何百枚もの絵を描いた。丁寧に描かれた人物は、いずれも横向きの顔で、身体は正面を向いている。1974年の釈放直後から消息不明になっていたが、1990年にニューヨークで逝去。「私が描くのは、悪い女達から自分を守るためなのよ。」(「アート・イン・パラダイス−アメリカのユニークな作家たち」図録 2001年) |
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