作家名:
入江波光
制作年:1929年
技 法:絹本墨画 軸装
画題から考えて、本作品は中国宋元の藻魚図とつながりをもつものであろう。作風をみても、宋元時代の輪郭線のない没骨描法を取り入れてある。波光にとって、古い絵画の技法を学ぶことは単に技術の習得のためだけではなく、古人の心までも写し取ろうとするものだった。鮒や川海老、めだかの遊ぶ藻の生えた川底を描いた作品は、昭和初期に数点描かれたが、静かでおだやかな情景には和みと優しさが漂っている。(「日本の美−再発見 富山県水墨美術館収蔵作品集」 2005年)