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いながきたるほ いかるす 稲垣足穂『イカルス』
稲垣足穂著。稲垣足穂の短編『イカルス』(「作家」一九五四年六月)を中村宏がオブジェ化したもの。三つの事件が起こる。一.モーターボートがカモメとなって消えた。二.奇妙なカモメの群がいたが、その胴体には模型飛行機のように小窓が並んでいた。三.撃ち落とされた異様に黒い一羽のカモメは竹組に黒紙が貼られた凧のようだが、動力はゴムではなくハツカネズミのような生き物だった。その一週間後に発見された飛行船のような奇妙な模型飛行機は、捕まえてみると折箱のように畳み込まれた。そのなかにあの奇妙な生き物がいる。それは、自分の手で折箱を利用して飛行機を組み立てる奇妙な生き物イカルス・クイッソスであった。しかし、それを教えてくれた生物学に詳しい紳士は「トワイライト世界」の住人であった。この不思議な物語を、中村は全てが銅でできた書物に仕立てる。総重量二十数キロ、一枚の銅の板は三ミリという非常に重い本だが、ページをめくって読めないことはない。稲垣足穂を象徴するような穴がカバーには空いている。彼は「物体は自覚化される時、呪物へと転位する」(「美術手帖」一九七五年四月号)と述べる。中村にとって呪物とはフェティシズムであり、それは物質に目覚めることである。空飛ぶ折箱の飛翔と墜落の寓話を、中村自身の機械への愛着、物質への偏愛によって戦闘機のように固く装備された姿で現実化した呪物、「機甲本イカルス」。(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)
カテゴリー:作品
デ・スティルとは?【 美術用語 】 1917年、テオ・ファン・ドゥースブルフが、モンドリアンの協力を得て、レイデンで創刊し、1928年まで編集にあたったオランダの美術雑誌名。デ・スティルは「様式」の意味。最終号は1932年、ドゥースブルフ夫人が亡夫を記念して発行した「ドゥースブルフ追悼号」(通巻90号)。この雑誌は初めはモンドリアンの新造形主義の原理をもっぱら扱っていたが、ドゥースブルフが執筆陣にダダイストやクプカを迎え内容が包括的になったことからモンドリアンは寄稿をやめ、1926年以降は造形されたものの効果や具体性を重視するエレメンタリズムが中心となった。このような経緯があるにせよ、両大戦の間で最も大きな影響を与えた雑誌である。また、デ・スティルの名称は、この雑誌に関係した芸術家、建築家のグループをも指し、彼らが始めた建築様式上の運動にも用いる。それは、キュビスムの影響を受け直角と滑らかな平面の組合せよりなる抽象形態と、色彩は原色と白、黒、灰のみを使用した純粋な抽象的造形を意図したものであった。 |
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