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ぷりんてっどまたー あめりか にほん 1989 プリンテッドマター<アメリカ/日本>1989 作家名:大竹伸朗 大竹伸朗著。一九八〇年代にニュー・ペインティングの旗手として登場し、その後、絵画や立体、本の制作、ノイズ・ミュージックと、多彩な活動を続けている大竹伸朗。そんな彼が本を作り始めたきっかけは、一九七七年、武蔵野美術大学在学中に、単身渡ったロンドンであった。チケットなどの印刷物、アル中の男から買い求めたゴミ袋にぎっしり詰まったマッチのラベル。それらをノートに貼り、スクラップ・ブックを作り始めるのである。渡英前にも印刷物には関心があり、コラージュを試みていた大竹であったが、このゴミ袋との出会いが転機となった。そして、初めは整然と貼り付けていたが、しだいにそれは混沌とした様相を見せていく。〈プリンテッドマター〈アメリカ/日本〉1989〉。この作品制作のきっかけは、一九八九年にアメリカ政府の文化交流基金の招待で一ヶ月滞在し、制作したスクラップ・ブックを基に作られた『亜米利加 II 1989』(一九八九年 アルファ・キュービック・サプライム)を印刷する時のこと。そのときに出た「ヤレ」にひかれた大竹が、それらを集め、その上にさらにアメリカで作ったスクラップ・ブックのイメージを無作為に刷り重ねて作られたのがこの本である。日本で印刷されたアメリカのイメージ(日本製)の上に、さらにアメリカのイメージを印刷する。アメリカと日本の関係の入り組んだ視覚化。どの「ヤレ」にどのイメージが印刷されるか分からないという二重の無作為がこの本を生み出している。印刷物や大量生産の日用品。すぐゴミになるものたち。しかし、それらの中には小賢しい人間の作為の産物や造形をはるかに超えて、何か喚起する力を持つものがある。大竹はそれらを見つけ出し、貼り重ねる。そして、「ヤレ」の利用に代表される様々な工夫によって、人間の作為を極力避けながら本にしてきた。大竹の本作りの原点であるスクラップ・ブックは、この間にさらに混沌の度合いを増して、厚く重層的に盛り上がっている。これからも大竹伸朗は、都市を歩き回りスクラップを続けていくに違いない。(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)制作年:1990年刊 技 法:本
カテゴリー:作品
フレスコとは?【 美術用語 】 壁画製作技法のひとつ。フレスコとはイタリア語で「新鮮な」という意味。現在では、漆喰壁に描かれた壁画の総称として用いられることも多いが、本来はそのうちで、下地となる漆喰壁がまだ乾かないうち(すなわち湿っていて新鮮なうち)に水で溶いた顔料で描いていく方法をいう。この方法では、絵具が漆喰の表層に浸透し、乾燥するにつれて固着し、壁と一体となってしまうので、壁自体が破壊されない限り存続することとなる。剥落の心配もないのでモニュメンタルな壁画を描くための最良の方法といえる。手順としては、まず漆喰で壁の粗塗りを行い、その上に小型の素描から拡大したシノピアという実寸大の下書きを行う。あるいは、カルトンと呼ばれる実寸大の下図を用意する。彩色にあたっては、その日に製作できると予定した面積だけ上塗の漆喰を塗り、その上塗りが乾かないうちに、顔料を水だけで溶いて描いていく。短時間に、しかも修正がきかないので適確に仕事が行われるため技術と修練が必要である。 |
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