ぐるぐるアートワード
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ぐるぐるもくじ


石鹸の道d)行為の断片”標的”



石鹸「モンサヴォン」(ジャン・カルリュと共作)



石膏のトルソと花



雪舟坐像



雪中孤鹿、雨中曳牛



雪中芭蕉図



雪後



背中を見せた女



せのひくいおれんじはまんなかあたり



蝉丸



セリュジェ



『セルフポートレート』



セルフポートレート



千秋万歳図



センストレム



「宣誓」に着手した時の3つの手の習作



板を支える両手、3パターンの下向きの手、2つのその他の手の習作



「宣誓」の為の2つの手の習作、前腕を持ち上げている人物の右側部分、4つの足の習作



センターピース



センターピース、あるいは燭台


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●もくじのさくいん

    

    

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 作家(1701)

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かすばのおとこ

カスバの男


作家名:大竹伸朗
制作年:1994年刊
技 法:本、ケース、エッチング(1点)、しおり(1枚)
大竹伸朗著。一九八〇年代にニュー・ペインティングの旗手として登場し、その後、絵画や立体、本の制作、ノイズ・ミュージックと、多彩な活動を続けている大竹伸朗。そんな彼が本を作り始めたきっかけは、一九七七年、武蔵野美術大学在学中に、単身渡ったロンドンであった。チケットなどの印刷物、アル中の男から買い求めたゴミ袋にぎっしり詰まったマッチのラベル。それらをノートに貼り、スクラップ・ブックを作り始めるのである。渡英前にも印刷物には関心があり、コラージュを試みていた大竹であったが、このゴミ袋との出会いが転機となった。そして、初めは整然と貼り付けていたが、しだいにそれは混沌とした様相を見せていく。〈カスバの男〉は、一九九三年に訪れた二週間のモロッコ旅行記の特装本。出版社の企画。アーティストによる現代版の画文集であり、発想としてはオーソドックスな挿絵本の系統に属する。この特装本では、本はケースの中に版画と共に収められている。その銅版画の、一見自由なように見えて、繊細でどこかとまどうような線。それは、モロッコの熱気の中で、衝動的な興奮と同時に、どこかで覚醒している孤独を感じさせる。印刷物や大量生産の日用品。すぐゴミになるものたち。しかし、それらの中には小賢しい人間の作為の産物や造形をはるかに超えて、何か喚起する力を持つものがある。大竹はそれらを見つけ出し、貼り重ねる。そして、「ヤレ」の利用に代表される様々な工夫によって、人間の作為を極力避けながら本にしてきた。大竹の本作りの原点であるスクラップ・ブックは、この間にさらに混沌の度合いを増して、厚く重層的に盛り上がっている。これからも大竹伸朗は、都市を歩き回りスクラップを続けていくに違いない。(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)


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けんさくけっか

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徳島県立近代美術館2006