ジョー・ドラオーは戦後の
ベルギーの幾何学的
抽象絵画の先駆者であり、戦後の主な
抽象芸術の運動のほとんどに中心的な役割を果たしてきた作家である。彼が創作活動を始めたのは戦前であるが、はっきりと自分の方向性を定めたのは1940年代の後半から50年代にかけてである。
ピカソの影響を受けたポストキュビオスム的な絵画から出発した彼は、
フェルナン・レジェやヴィクトル・ヴァザルリにヒントを得て幾何学的な
抽象へとたどり着く。そして晩年に至るまで色々な可能性を試み、常に第一線で活躍を続けた。その創作の原理は即興性を廃し、論理性を重んじることにある。それゆえ作品はモニュメン
タルな性格を帯びており、しばしば古典的であるとさえ評される。(「
ベルギー現代美術展」図録 1994年)