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にほんのふね 日本の舟
この作品は、『マガザン・ピトレスク』誌に銅版画の複製が載っていることから、1874年のサロン出品作品であることがわかる。作品の元となったのは、大井川の渡しを描いた広重等の浮世絵作品であると思われるが、ジュヌヴィエーヴ・ラカンブルが指摘している通り、元のイメージを逸脱して、「想像を全く空想の域にまで発展させて」しまっている。裸の男たちが担ぐ渡しに乗って川を渡る日本女性たちの姿は、近代の西洋人には非常に奇異に映り、多くの画家たちが、自分たちの勝手な解釈を加えながら、描き変えていった。ルノアールのこの作品は浮世絵を直接見て描いたのではなく、西洋画家によって既に改変を加えられた後のイメージを参考にしている可能性が強い。(「世紀末から 西洋の中の日本「ジャポニスム展」図録)
カテゴリー:作品
ロマン主義とは?【 美術用語 】 19世紀前半のヨーロッパの美術潮流。ロマンという語は、俗語で書かれた文学を意味した中世フランス語に由来し、そこから非現実的要素だけが取り出されて伝奇的・空想的意味に用いられ、18世紀には悲愴的美、崇高美と結びついた新しい美的感覚をあらわす基本的な概念となったものである。ドイツでは18世紀末から〃イエナ・ロマン派〃によって生活態度における最高概念まで高められた。ここでは、ロマン的現代とは有限と無限、自然と精神の分裂の時代であり、その中で有限なものの中で心情を無限なものと一体化させることは美的態度によってのみ可能であると考えられた。このようにロマン主義とはいわゆる造形活動上の様式概念ではなく、作家の制作態度にかかわるものであるので、特定の形式や統一的様式はもたず、またロマン主義に含まれる作家に様式上の共通点は見られない。代表的作家は、ドイツでは絵画のフリードリヒ、ルンゲ、建築のシンケル、フランスでは絵画のドラクロワやジェリコーらがいる。 |
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