主に肖像画や風景画で知られる
コールマンだが、静物画や花鳥画も少数ではあるが逸品を残している。1870年代から彼はイタリアのカプリ島で制作をしながら、作品発表を主にアメリカとイギリスで行っていたが、その頃に欧米に広まっていた
ジャポニスムの影響を間接的に受けたと考えられる。特にイギリスで活躍をしていたアメリカ人画家マク
ニール・
ホイッスラーとは交友もあったと思われ、彼が頻繁に用いた縦長の画面形式や地味な中間色の色彩、そして漢字や和風の意匠を施した金の額縁は
コールマンのこの作品に共通している。
コールマンの額の四隅には、徳川家の葵の紋が用いられているが、それは
ホイッスラーの額と同様、家紋としての意味はなく、純粋な装飾意匠として採用されている。ふくろうの背後の満月の金が見事に額の金と調和し、全体として金屏風のような効果を作り上げている。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)